この旅と響き合う、今日の言葉
上善は、水の如し。
朝六時の日曜市は、もう始まっていた。文旦、川エビ、山の芋。売り手のおばあさんは値段より先に食べ方を教えてくれる。この町では、商いの速度が会話の速度を追い越さない。
朝六時の日曜市は、もう始まっていた。売り手のおばあさんは値段より先に食べ方を教えてくれる。この町では、商いの速度が会話の速度を追い越さない。
路面電車に揺られて、川の匂いのするほうへ。明日から向かう上流の話をすると、車掌は「急いだら、もったいないですよ」と笑った。
上流に近づくほど、水の青は名前を失っていく。「仁淀ブルー」という言葉を持ってきたはずが、目の前の色はそのどれでもない。船頭の言葉が良かった。「色は、水が決めることやき」。
上流に近づくほど、水の青は名前を失っていく。船頭の言葉が良かった。「色は、水が決めることやき」。
沈下橋には欄干がない。増水したら、抵抗せずに水の下へ沈む橋。七十年川漁をしてきたという漁師は言った。「川と喧嘩せんことよ。勝てんもんとは、仲良うするが賢い」。
沈下橋には欄干がない。七十年川漁をしてきた漁師は言った。「川と喧嘩せんことよ。勝てんもんとは、仲良うするが賢い」。
帰りの列車で、three days の予定表を見返した。半分も回れていない。それなのに、鞄が行きより重いのは気のせいではないと思う。
流れにまかせる、という言葉を、諦めの同義語だと思っていた。けれどこの三日間で会った人たちは、誰よりも注意深く水を見ていた。まかせることと、見ていないことは、違う。東京行きの最終便で、そのことだけをノートに書いた。
まかせることと、見ていないことは、違う。東京行きの最終便で、そのことだけをノートに書いた。